初先発。僕はようやくチームの一員になれた――
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈25〉
4回2/3をノーヒット、無失点。快投に誰もが感嘆した、そのときの思い――。
■初球のボールに不安が募り、でもその後に「バック」の存在を知る
もちろん緊張はあった。最大のポイントは初回だった。
初球は変化球が外れてボール。
これまで大きく崩れるときというのはフォアボールが絡んでいる。特に先頭バッター。そのイメージはチームメイトにもベンチの監督やコーチにもあるから、一つのボールが大きなボールに感じられてしまう。
2球目はストレートでストライク。そして3球目をショートゴロに打ち取った。少しほっとしたけれど、まだまだ緊張感はあった。そして、2番バッターにやってしまう。3ボール2ストライクからフォアボールを出してしまったのだ。
「やってしまった……」
そんな感じだった。でも、次の瞬間、救いの手が差し伸べられた。盗塁を試みたランナーをキャッチャーの鶴ちゃん(鶴田都貴)が刺してくれたのだ。これでツーアウト。仮にセーフだったら1アウト2塁だったところが、一気に2アウトランナーなしになった。
「僕には一流の野手がついているんだ。どんどん打たせていこう」
気持ちのゆとりが一気に出てきた。続く三番打者をライトフライに打ち取ると、ここからはもう楽しくて仕方がなかった。二回から四回まで打者九人を連続で打ち取ったのだ。
初回に味方が一点を先制してくれていたから1対0という僅差で試合は進んでいた。この間、根拠のない自信なのだけれど、マウンドにいる僕は「打たれない」イメージを作り上げることができていた。最速は123キロのストレート。そこにツーシームやカットボール、カーブを加え、なにより有効だったのがスローボール。90キロ台のそれを見せ球に鶴ちゃんがうまく配球してくれていたし、自分の中でも次はストレートで打ち取れる、という確信のようなものが芽生えてきていたのだ。相手投手は140キロを超えるボールをどんどん投げ込んでいても打たれていたのに、野球って面白い。